僕はお金の奴隷なので無料コンテンツ好きです宣言

毎度お騒がせしております、電子書籍作家の幾谷正です。

出版社を脱走して独立作家になってから早2年あまり、電子書籍の売り上げも順調に軌道にのってきて、すっかりクリエイター面が板についてまいりました。

特に無料お試し版を公開してからというもの、売り上げの伸び幅がたいへん素晴らしく、Twitterでも「無料だから試し読みしてみたけど2巻以降買う」というつぶやきを見かける機会なんかもあります。
フリーミアムというwebビジネスの方法をやっとつかめてきたような気がしています。

そして、そんな売り上げ帳票を作っている最中、目に飛び込んできたこの記事。

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連日、クリエイター界隈を非常に騒がせておりますね。もう見たという方も見飽きたという方も多いでしょう。
僕も以前から個人で本を売るための方策や活動について公開されている西野氏のクリエイターとしての発言に、ときに感銘を受け、ときに教示を得てきました。
ですがこの発言についてはかなり疑問符が付くところが多く、プロアマ問わず多くの方がこの内容に反論を送っています。

よく言われるのが「全てのコンテンツが無料になったらクリエイターは対価がもらえなくなる」という指摘です。
ですがこの指摘をしている人たち、このブログをちゃんと読んでいないんじゃないかと思いました。

西野氏は「制作スタッフには最初の段階ですでに給料が支払われています」と発言していますし、一万部を自費購入して印刷費を担保するという荒業も行っています。

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しかも無料にした結果、「もっと多くのお金が儲かった」という結果を大々的に誇示しています。

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この方はむしろ、クリエイティブの業界に誰よりお金を投じている側の人間です。

なのにどうしてこういった批判が起きるのかという点について、端っこに居る兼業クリエイターではありますが、自分のコンテンツを無料にしてみたことがある経験者の視点で突っ込ませていただきます。

お金が先か無料が先か

西野氏はおおむね正しいことを言っていますが、一点、完全に勘違いしたことを言っていると思います。

これから、無料化できるところから無料化していって、『お金』なんて、そもそも存在しなかった時代や、地域で、おこなわれていた『恩で回す』ということをやってみます。

まるで資本主義を打倒するみたいな論説に聞こえてちょっと冷や冷やしますが、はっきり言って僕はこれ、「勘弁してくれ」って思いました。

だって、お金という概念がなくなったら、無料という概念もなくなっちゃうじゃないですか。

先にも述べたように、僕が出している無料お試し版を皆がダウンロードしてくれるのは、多くのコンテンツが有料だからです。

¥500 ¥0

ってわざわざ書いた方が、みんな「お得!」って感じてくれるじゃないですか。

お金があるおかげで僕たちは無料コンテンツを強みにすることができます。
コンテンツの無料化とは要するに、資本主義の神様の手のひらの上で起きている出来事です。
無料コンテンツはお金の奴隷を開放することはできません。無料コンテンツという存在そのものがお金の奴隷なんです。

西野氏は「資本主義の中で無料にすることの正しさ」と「お金のない世界を作り出すことの正しさ」を混同してしまっているのではないでしょうか。
自分たちが資本主義の手のひらの上に居るなんてこと、普通に暮らしていればあまり自覚することもありませんからね。無理もありません。

もしお金のない世界を望むのであれば、アメリカで行われているバーニングマンというイベントに参加したらいいのではないでしょうか。

フーリガンがバーニングマンの「セレブ御用達」キャンプサイトを襲撃 – FNMNL (フェノメナル)

これ見よがしに金のかかる設備を持ち込んだセレブたちが、暴徒の襲撃を受けて大混乱なんて世紀末な出来事とかも起きてます。
僕はお金あんまりないけど、それでもお金のある世界の方がいいなって思いました。

西野さんってむしろお金好きなんじゃない

ブログ何度か読み返してみましたが、西野氏、例のブログの中で実に21回も「お金」という単語を使っています。
嫌いなものをこれだけ何度も打ち込むなんて、正気の沙汰じゃねえなって思います。

そもそも氏は、クラウドファンディングで資金を集めたり、自費購入をして見せたり、お金を使ったパフォーマンスがかなり派手です。
それは彼が芸能活動の中で勝ち得てきた信頼が、お金という形に一回変換されているからこそ、できることなんでしょう。

だったら、もう『お金』なんて要らないです。
僕とあなたの間から『お金』を取っ払います。

改めてみるとこの部分、誰がどう見ても嘘くさいですね。
カッコつけようとしすぎて言わないでいいこと言ってしまった感が拭えません。
正直これに関しては失言だったと思います。
炎上し始めた段階で、「やっぱお金は必要です!」って手のひら返して言っちまったほうがよかったんじゃないかなあ。

お金があるからこそ無料化できる

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この記事で西野氏は「入り口を無料することの正しさ」を切々と説いています。

僕自身、無料版を出したことでさらにお金が儲かった人間なので、この発言の意味するところはとてもよくわかります。
ですが、一つ間違えてほしくないのは、無料化すればだれでも儲かるというわけではありません。

全てのコンテンツが無料の入り口を作れば、宣伝や広告にお金をかけられる体力のある企業、つまりは強者が余計に勝つような激しい競争を生みます。
この記事で反論をしている声優の明坂さんのいるアニメ業界は、そんな疲弊が積もり積もって崩壊寸前の状況に追い込まれている代表的な業界です。

僕が自分の作品を無料公開しているのも、あくまでちゃんと食える本業があって、その本業で得た稼ぎと時間を投じれることから、無料化できているというだけです。
さらに言えば、僕は一度商業作家としてデビューした経験があるので、無名の素人さんたちに比べると格段に有利な状況で個人出版活動をしていますし、それを自分の強みとして利用しています。

兼業で余暇を使って文字を書いてるだけの僕はまだいいですが、業界全体が無料化のチキンレースを続けていけば、さらに自分たちを苦しめることになるでしょう。
最後に残るのは、もっともお金を稼いだ強い資本を持つ企業だけで、弱い人たちは誰も残らなくなるだろうと予想できています。
僕はそれを理解して、強者の側として、弱者を殺す覚悟をもってこの活動を続けています。

また、無料の商行為というのは課税対象とならず、よって富の再分配の対象にもなりません。
お金を儲けている企業が課税を受けない無料サービスを続けれれば、もっとマクロな視点で見れば社会格差は広がります。
そういう弱者を切り捨てる流れを肯定して受け入れるべきだというのは、強くなれない人間は死ぬしかないと言っているのも同じです。

西野さんの最大のミステイクはずばり、「無料化という強者の行い」と、お金のない子供を助けるという「弱者救済の美談」を同時に掲げてしまったことでしょう。
自分のお金に執着する汚い部分を炎上で焼いてもらえて、一番救われているのはご本人なのではないでしょうか。

もっと言えば、お客さん向けるべきパフォーマンスと、同業者に向けるべき本音の部分の話を、一度にやろうとしてしまったのが失策だったなって思います。
「金がもっと欲しいから無料化した」「更に儲かればもっと面白いことがたくさんできる」「だから俺はもっとお金が要るんだ!」
ここまで露悪的に言う必要こそありませんが、そんなことみんなわかってることですしね、正直。

『小説家になろう』での活動停止のお知らせ

皆様ご無沙汰しております、作者の幾谷正です。

今回皆様には大変残念なお知らせがあります。
現在『小説家になろう』サイトにて公開しております拙作『アーマードール・アライブ』の公開を、本日をもって中断することとなりました。
既に公開済みだった第二巻の内容を全文削除して第一巻分の内容のみの公開とし、設定も「完結済み」に設定しています。
これ以降の部分にかんして、なろう上で公開することはありません。

もちろん皆さんすでにご存じのとおり、この話がここで完結してしまったというわけではありません。
以降のお話は電子書籍として多数のストアで販売していますし、続きも鋭意執筆中です。

armordollalivepr.tumblr.com

さて、どうしてこのような状態に至ったかという理由を、順を追って説明させていただきます。
当初この「電子書籍で販売した内容を、追って無料公開していく」という公開形式について、なろう運営には問い合わせ行い、了承をいただいていました。
ですが方針の変更があったのか定かではありませんが、「販売している分の内容はすぐに公開するように」という連絡を先日頂き、対応行わない場合はアカウント削除されるという、大変厳しい通達がありました。
また、公開を行うつもりがない場合は、キリのいい部分までとして完結済みにすることでも良いというお話だったので、内容としてキリの良い、第一巻にあたる一部のみを残し、完結済みとすることで対応いたしました。

当初自分も第三巻の内容をこちらで公開するか否か、かなり悩んでいました。
ですが、対価を求める個人出版を続けていく限り、今後もなろう運営と衝突してしまうことは避けられないという点。
また、なろうでお気に入り登録していただいてる読者より、さらに多くの方に電子版を買って頂けているという点。
以上の二点から、電子販売と無料公開の両立は不可能であると判断し、こうして更新停止という着点に至りました。

もしこれがpixivを利用しているイラストレーターで、「同人誌のサンプルをpixivで公開して電子販売」とかだったら、何も言われないところなんですがね。
文字書きに用意される無料小説投稿サイトの状況は、絵描きに用意されているそれらに比べて、いまだちょっと厳しいものが多いなと正直に言って感じています。

本を書くことで収入を得たい、しかし無料でも読んでもらえるならば多くに読んでもらいたい。
二つの理想を同時に叶えようとして始めたこの先行有料公開という変則的な取り組みですが、こういった結果になってしまい、大変残念に思います。

ですがこの判断はむしろ、電子書籍販売の売り上げが好調で、これだけで十分やっていけるという確証が持てたからの決断でもあります。
確かにweb小説を読んでいる人たちが電子書籍を買ってくれることはあまり多くはありませんが、もともと電子書籍を買ってくれている人たちがストアで買ってくれる数は思った以上に多いものでした。
言わば僕は電子書籍作家になってしまった人間なので、『なろう』という環境からは卒業せざるを得なくなった、ということかもしれません。

ただすべて削除してしまうのは忍びなく、また一巻はもともと販売ストアでも無料お試し版として公開しているので、その部分については今後も無料公開として残していきます。
(無料お試し版で公開しているにもかかわらず、一巻の売り上げはいまだに結構増え続けています)

僕がここに戻ってくる日が今後あるのか、今はまだわかりませんが、皆さんがこちらに来てくれる日のことを僕はいつでもお待ちしております。
それでは、しばしお別れとなります。今までなろう作家として応援していただいた皆様、本当にありがとうございました。

また余談ではありますが、並行して同じように無料公開している『カクヨム』サイトの方では、現在の公開形式について未だに注意など受けておりません。
そもそも、読者数が少なすぎて、公開媒体として全く機能していないのですがw

以降、無料公開行う場合については『カクヨム』を代わりに利用していくか、あるいは無料公開という方法に固執すること自体をやめにするか。
いろいろと考えてみたうえで追って判断してみたいと思います。

同じKADOKAWAなんだからカクヨムBOOK☆WALKERでなんか連携サービスとか始めてくれねーかなあ(本音)

【お知らせ】『アーマードール・アライブⅢ ~非情の人形は悪魔の虜~』販売ストア情報

あけましておめでとうございます。
久しぶりの更新にして、年明け一発目の更新になります。幾谷です。
今年の冬コミは3サークルほど買い逃してしまい、反省の残る試合になりました(どうでもいい報告)

アーマードール・アライブⅢ: 非情の人形は悪魔の虜
アーマードール・アライブⅢ: 非情の人形は悪魔の虜

さてさて。
現在、AmazonKindleにて好評発売中になりますこちらの『アーマードール・アライブ』第3巻ですが、1月1日よりBOOK☆WALKERインディーズでも販売開始されました。

bookwalker.jp

どちらで買っていただいても内容に違いはありませんが、BOOK☆WALKERで買って頂いたほうがちょっとだけ僕に入ってくる印税率が多いです。
あと、ポイント還元なんかもあったりするので、読者の皆様にもそちらの方がちょっとお得みたいです。
(ポイントセールが行われているときだともっとお得になるみたいです)

これ以外のストアにも現在申請中ですが、正月休みに間に合わなかったので、審査遅れているみたいです。
ストアで販売開始されたらまた随時こちらで情報更新していきます。

さて、現在色んなストアで販売行っていますが、もともとラノベ好きの利用率が多い影響なのか、BOOK☆WALKERでの売り上げがぶっちぎりで多くなっています。
市場全体のシェアではKindleがトップだという統計が出ているみたいですが、特定のジャンルや個人レベルの話だと、まだまだ「どこが良い」とは断言しきれないようです。

現状、「まずKindleで配信してから時間をおいて他のストアに登録」という方式で配信を行っていますが、今後は「時間差を置かずB☆Wで同時配信」の形態に切り替えようかと思案しています。
もし参考になるご意見ありましたら、ぜひこちらのコメント欄などへお気軽にお書きください。

追記

昨年集計された「BOOK☆WALKER 電子書籍ランキング2016」にて、インディーズ部門の第3位を受賞させていただきました。

BOOK☆WALKER 2016年間ランキング| 電子書籍ストア-BOOK☆WALKER

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投票していただいた皆様、ありがとうございました。
今年は1位を狙っていきます!(宣言)